似てるのはえろ

本当に幸せな気分だ。海から上がってメシを食い熱い風呂につかって座りなれたソファにどっかり腰を下ろす。目を閉じて湧き上がる余韻を味わってるだけで、アレレ?!もうこんな時間!!
波乗りはセックスに少し似てる。
波をとらえて走り出したあの瞬間は、とても好きな人との初めての夜のよう。時間の流れが濃やかで、全身の感覚が冴える。巨大なエネルギーを肌が感じる。そのままでも素晴らしいけれど、何か始めなければならない。
板を両手で突き放し、その勢いで立つ。すると、さっきまでの様子が一変!たとえるなら貞淑に見えた彼女の本性剥き出しの激しい腰使い。あまりの目まぐるしさに翻弄されて、ついていくので精一杯。上手ければ、そのままフィニッシュまで一緒にいけるのだけど、僕はまだ下手で波に置いてきぼりを食ってしまう。とても残念。
本当に上手い人が波を乗りこなす様はとても自由に見えるけど、あれは本当は波にあわせてるだけだ。ターン、傲慢に波を切り刻んでいるように見えるけれど、あれは波のご機嫌うかがいだ。波の力のないところでは僕らは沈んでしまう。だから波の顔色をうかがって右に左にターンして波を待ち受ける。
サーフィンが上手いというのは、波にあわせるのが上手いということ。あらゆる波の魅力を引き出せる。波の気まぐれに付き合える度量がある。
マメなジゴロのようなものだ。
僕には移ろいやすい女心のような波を受け止められるだけの余裕がないのだけど、それでも、最高に楽しい。
上手くなりたいなあ。